ドイツパンとは

サワー種について

Sauer:サワーとは酸っぱいという意味です。ライ麦サワー種はライ麦粉と水からなり、サワー種の温度や水分量を管理・調整して作られます。サワー種には乳酸菌・酢酸菌が含まれ、これらの菌がパンの風香味を形成します。サワー種はライ麦パンの生地を扱い易くし、カビなどの繁殖を抑えて保存性を高める役割も果たします。

サワー種の役割

  • ライ麦パン特有の酸味、風香味を与える。
  • 酵素の活動を抑制する。
  • ライ麦パンの生地物性を安定させ、作業性を高める。
  • ライ麦パンの保存性を高める。

生地に酸味をつける方法

生地に酸味をつける方法は工房によってさまざまです。 大きく分けて3通りあります。

  • 中種法:サワー種によってのみ、生地に酸味をつける方法。
    a)複数段階熟成法:2段階、3段階
    b)1段階法:(ベルリン式)短時間熟成サワー種、デトモルト式1段階サワー種、
           ヴァインハイム式1段階サワー種、モーンハイマー式サワー種。
  • ストレート法:生地をすっぱくする不活性のサワー種の粉。
    (TSM:粉末サワー)によって、生地に酸味をつける方法。
  • コンビネーション法:サワー種とTSMによって生地に酸味をつける方法。

サワー種の熟成法や品質に影響する要素

  • スターターの種類と量
  • 生地温度、管理温度
  • TA:生地収量(生地の柔らかさ)
  • サワー種の熟成時間
  • ライ麦粉の種類

pH値

pH値(水素イオン濃度)は酸の強さを表します。pH値が低いほど、そのサワー種やパンの酸は強く、一般的範囲としては、 サワー種:pH3.3~4.0 パン:pH4.0~5.2 です。
ライ麦粉は小麦粉と比べ、pH低下が進みやすい傾向にあります。
pHの低下は粉のミネラルの含有量によって影響を受け、灰分の値が高い粉ほど、pH低下が進みやすくなります。

サワー種の発酵・生地温度

温度が上がると乳酸が形成され、温度が下がると酢酸が形成されます。

サワー種の発酵温度(上)
     生地温度(下)
乳酸:酢酸 パンの味
32~37℃
30℃以上
85:15 マイルドな味
24~32℃
27℃
80:20 酸味が利いた味
20~24℃
27℃以下
75:25 強い酸味
苦味、渋みがある

生地収量について

TA:生地収量とは、生地の柔らかさ、粉と水の関係を表す指標です。
粉100に対して、水がどの位入るかを示します。
例)TA190:粉100、水90 TA220:粉100、水120
TAの数値が高く、温度が高いとサワー種中の乳酸の発生が多く、まろやかな味になり、TAの数値が低く、温度が低いと酢酸の発生が多く酸味が前面に出ます。

3段階サワーについて

スターターとなる初種が必要です。

初種のおこし方

1日目ライ麦粉
100g
100g

──
 
 10g
 
2日目ライ麦粉
    100g
100g

┴─
 
 10g
 
     
3日目ライ麦粉
        100g
100g

┴─
 
 10g
 
5日目
初種
pH3.9
4日目ライ麦粉
            100g
100g
┼─
            

3段階サワー種

Anfrischsauer(アンフリッシュサワー)    
25~26℃で
6時間発酵させる
TA250
初種
ライ麦粉
0.5kg
1.0kg
1.5kg


 
かえり種
2.5kg
 
 
Grundsauer(グランドサワー)        
25~27℃で
10時間発酵させる
TA167
 
ライ麦粉
   
12.5kg
7.5kg


 
元種
20kg
 
 
Vollsauer(フォルサワー2)       3段階サワー種の完成
30℃で
3時間発酵させる
TA190
初種
ライ麦粉
       
30kg
30kg


    ↓
乾燥させ粉末にした
のがTU-C-04
ウルマ・フォルサワー

サワー種使用にあたってのポイント

  • 定期的に新しいスターターを入れること。
  • 生地温度を定期的にチェックすること。
  • TA(生地収量)は常に一定にする。
  • 熟成時間を守ること。
  • 粉の品質を変えないこと。
  • pH値と酸の量をチェックする。
  • 出来上がったサワー種を毎回チェックする。