フランスパンとは

フランスパン作りに関する用語

フランスパン作りに関する各種用語の意味とその効果

フランスパン作りには分かりにくい用語がよく登場しますので、その意味や効果などについて簡単に整理しました。

1. 発酵法と発酵種について

ルヴァンリキッド 液状の発酵種。小麦粉、水を継ぎ足して乳酸発酵を行います。主な目的は風香味のアップで、初種はライ麦粉で起こし、小麦粉で継いでいきます。
酒種 米から作る日本古来の発酵種で、独特な風香味のアップが主な目的で、あんぱんや酒まんじゅう等に使用されますが、フランスパンでの使用はあまり見受けられません。
老麺 冷蔵、または室温で発酵させた生地。北欧諸国で昔から作られ、イースト節約や風香味アップの目的で使用されます。前日のパン生地を冷蔵し使用する場合が多いようです。
パートフェルメンテ フランスパン生地の老麺のことで、1時間発酵した生地を5℃前後で冷蔵発酵させて翌日使用します。使用する時は16℃位まで復温させる必要があり、それを10%~30%程度使用します。
液種(ポーリッシュ種) ポーリッシュ法等の種。配合は小麦粉、水を各30%、インスタントドライイースト0.1~0.2%、モルト0.2%。室温で発酵させた後、5℃前後で冷蔵発酵したものが風香味が良いようです。

2. 水と塩について

硬水と軟水 硬水はミネラルなど塩類を含み硬度が高く石けん水の泡が立たない水で、軟水は逆に石けん水が良く泡立つ水。硬水はグルテンのつながりを強くし発酵を抑制します。軟水はグルテンが軟化し生地が緩み吸水が少なくなります。何れもパンの出来は悪くなりますので、硬水軟水ともに調整が必要です。
岩塩 一般的に粒度が粗めで(細めもありますが)パン生地には適さず、ブレッツェルなどのトッピング用に使用されます。産地によって成分が大きく異なるため使用に当たっては注意が必要です。
海塩(伝統的な製法のもの) 粒度が細かいためパン生地作りに適しています。塩化ナトリウムが精製塩より少なめなので若干多めに(+0.1%~0.3%程度)使います。
焼き塩 フライパン等で焼いた塩。塩化マグネシウムを変化させ水分も飛ばすためベタ付きが無くなります。また、しょっぱさが強くなり味が濃くなるといわれています。

3. 各種製法の種類と特長について

手捏ね法 十分なグルテンを引き出せないので、ボリューム不足の傾向になりますが、ミキサーを使用するよりも吸水が多く、発酵時間が長めで熟成が進むため、風香味は良くなります。
低温長時間発酵法 主な目的は風香味のアップ。5℃前後の低温発酵では、アルコールなどの生成が通常と異なってゆっくりと熟成されていきます。
ポーリッシュ法 1940年代にポーランドで行われていた手法で、少ないイーストを効率的に使います。風香味、内相、老化の点で効果的ですが、種でグルテン形成が進むため食感は強めの傾向です。
ディレクト法 ストレート法のことです。
オートリーズ法 小麦粉、水、モルトを軽く混ぜ合わせ、30分程度水和と酵素活性を促します。副次的な作用としてグルテン形成も起きます。小麦粉が持つ力を先に引き出す方法で主に水和が目的であり、20~40分の範囲が適正です。吸水アップ、ボリュームアップ、食感の改良に効果があります。
パートフェルメンテ法 パートフェルメンテを種に使用することにより、短時間発酵の生地が安定し、吸水アップ、ボリュームアップ、老化防止の効果があります。
後塩法 小麦粉の吸水が不安定であった時代に行われた製法です。水100に対して小麦粉の量が変動し、ほぼ出来上がった生地に塩を入れていきます。吸水調整、ミキシング短縮が主な目的です。

4. モルト、ビタミンCの目的について

モルト 大麦を発芽させエキスを抽出したもので、主な成分は麦芽糖とαアミラーゼ。添加することでイーストの発酵補助、生地の伸展性、色つき、味、老化防止に効果があります。
ビタミンC グルテン生成の補助的な役目で、生地物性の安定性、製品のボリュームに影響します。使用量には注意が必要で、特に過剰な使用は製品に悪い影響が多く出ます。